最期の晩餐

「うーん」

 久々に彼氏の部屋に来ているというのに、私の頭の仲は楠木さんのハンバーグのことでいっぱいだった。

「どうしたの? そんなに怖い顔して」

 隼人が私の頭をポンポンと撫でた。

久々にやってきたしかめっ面の彼女にとても優しい出来た彼氏の隼人は、小学校の教諭をしていて、生徒に人気どころか、保護者にもモテモテらしい。

美知さんに隼人を紹介してもらった時、「隼人はみんなに優しいから、凄くモテる。いい子にしてないと他の女に取られるからね」と言われたが、教師たるもの浮気などするわけがない‼ と、私は隼人を信じている。

「ウチのホスピス、週一でオーダー食っていうのやっててね」

「うん。知ってる。美知に聞いたことあるよ」

 いつでも優しい隼人は、仕事で疲れているだろうのに、嫌な顔をせずに私の悩み事に耳を傾けてくれる。

「私と同い年の患者さんが【お母さんのハンバーグ】をリクエストしててね、普通のハンバーグらしいんだけど、過去二回出した普通のハンバーグは「美味しいけど違う」って言われててね。その患者さんのお母さん、亡くなってるからどんなハンバーグか分からなくて……。隼人の家のハンバーグって、どんな感じ?」

 考えるほどに【普通】が何なのかが分からなくなってきて、彼氏の普通をリサーチすることに。