最期の晩餐

「過去二回、『美味しいけど、お母さんの味じゃないんだよな』って。『これじゃない』って不正解を叩きつけられてて。楠木さんのご両親は離婚されてて、お父さんとは連絡つかないし、お母さんは亡くなってるし、母方の祖父母も他界されてるから、正解を知っている人がいないのよね。『小さい頃、お母さんは看護師をしていて忙しかったから、普段はおばあちゃんが作ってくれる料理を食べてたんだけど、たまにお母さんが作ってくれたハンバーグが忘れられない』って言っていて。何とか再現したいんだけど、ヒントがなくて……。珍しい食材も入ってなくて、凝ったこともしてない、豚と牛の合挽き肉の普通のハンバーグだったらしいんだけど……」

 美知さんが頭を抱えた。

「いい加減そろそろ成功させないとな。時間に余裕が……あるわけじゃないからな」

 林田さんがしょっぱい顔をしながら「うーん」と唸った。

 普通の、お母さんのハンバーグとは一体……。