「話、聞きますよ」
爆発寸前の美知さんの愚痴を聞いてあげるべく、「呑みながらにします?」とドリンクメニューを手渡す。
「大事な話だから飲むならソフトドリンクで。故に奈々未もソフトドリンクで」
美知さんが【結構です】と言わんばかりに、手のひらを私の方に向けた。
【ソフトドリンク】を二回も言うあたり、「間違ってお酒頼んじゃったー。エヘヘ」などというおふざけは絶対に許されないのだろう。
「私、今の仕事は物凄く好きなのよ。食ってやっぱ幸せじゃん。最期に患者さんの食べたいものを作って差し上げて、喜んでもらえるって、めっちゃ尊いじゃん」
熱く語り出した美知さん。
「完全に同意ですが、だったらベーコンをあんなに乱暴に扱わないでくださいよ」
「失敬失敬。尊い仕事って、精神的に辛いこともあってさ。また新人の管理栄養士が辞めちゃってさ。新卒二人入れて、二人とも辞めた。看取りケアすることが多い職場だからさ、自分が関わった患者さんが亡くなっていくのが辛いって。常に【最期の食事】を意識して、患者さんひとりひとりの要望をじっくり時間掛けて聞くからさ、患者さんの思い出だったり人生だったりに触れてしまうと、どうしたって情が湧いちゃうからね」
辞めていった後輩の気持ちを悟りながらも、辞めて欲しくなかっただろう美知さんは、「ふぅ」と残念そうに小さな息を吐いた。
爆発寸前の美知さんの愚痴を聞いてあげるべく、「呑みながらにします?」とドリンクメニューを手渡す。
「大事な話だから飲むならソフトドリンクで。故に奈々未もソフトドリンクで」
美知さんが【結構です】と言わんばかりに、手のひらを私の方に向けた。
【ソフトドリンク】を二回も言うあたり、「間違ってお酒頼んじゃったー。エヘヘ」などというおふざけは絶対に許されないのだろう。
「私、今の仕事は物凄く好きなのよ。食ってやっぱ幸せじゃん。最期に患者さんの食べたいものを作って差し上げて、喜んでもらえるって、めっちゃ尊いじゃん」
熱く語り出した美知さん。
「完全に同意ですが、だったらベーコンをあんなに乱暴に扱わないでくださいよ」
「失敬失敬。尊い仕事って、精神的に辛いこともあってさ。また新人の管理栄養士が辞めちゃってさ。新卒二人入れて、二人とも辞めた。看取りケアすることが多い職場だからさ、自分が関わった患者さんが亡くなっていくのが辛いって。常に【最期の食事】を意識して、患者さんひとりひとりの要望をじっくり時間掛けて聞くからさ、患者さんの思い出だったり人生だったりに触れてしまうと、どうしたって情が湧いちゃうからね」
辞めていった後輩の気持ちを悟りながらも、辞めて欲しくなかっただろう美知さんは、「ふぅ」と残念そうに小さな息を吐いた。



