最期の晩餐

「そんな気を遣いますかね? あの林田さんが」

『林田さんじゃなくて、森山さん』

「あぁ、そっか」

 美知さんとの会話で「フフッ」と笑いが漏れた。

 あれ? 笑ったのいつぶりだ? 最近、笑ってなかった気がする。

「……美知さーん。今日、ウチに泊まりにきませんか?」

 悲しくて辛くて寂しくて、ひとりでいたくなくて。美知さんがそばに居てくれたらなと思った。病人だし、甘えてもいいだろうと思った。

『無理』

 なのに、あっさり振られた。

「病人のお願い事ですよ⁉ 聞いてくれてもいいじゃーん‼」

『だって奈々未、今日も明日もいないから、奈々未の分も仕事しなきゃでしょ。言っとくけど、今私、残業中だからね』

「やっぱり私、明日出勤しますよ」

 暗に『お前のせいで残業じゃ‼』と言われたら、休んでなどいられない。

『来るなっつーの。今回は私が奈々未のカバーをする。だから、私が体調崩した時は助けてね』

 美知さんは、私に嫌味で『残業中』と言ったわけではなかったらしい。

「もちろんですよー」

 持ちつ持たれつってことか。と納得し、明日は休むことにした。

『で、本題なんだけどね』

「あ、私の体調確認はただの前置きだったんですね」

 私の身体を気にかけて電話をくれたのかと思いきや、美知さんの用件は別にあったらしい。