最期の晩餐

「一日三回、食後……。そう言われましてもねぇ……」

 袋の文字を読みながらため息を吐く。買って来たゼリーもヨーグルトも、今はまだ食べる気になれない。普段、食欲のない患者さんにのうのうと『一口で良いから食べましょうよ。元気でませんよ』などとほざいていた自分をぶん殴りたい。食えんものは、食えんのだ。

 日頃の自分を大いに反省していると、鞄の中からスマホが震える音がした。

「誰だろ?」

 鞄からスマホを取り出し、画面を確認して通話ボタンをタップ。

「お疲れさまです、美知さん」

『お疲れー。やっと出た』

 電話の向こうの美知さんに、『やっと?』と首を傾げながら、耳からスマホを外して着信履歴を確認。美知さんからの着信履歴が五件あった。

「すみませーん。内科で点滴三本打ってて気づきませんでしたー」

『大丈夫なの⁉』

 点滴の量に驚く美知さん。

「大丈夫です大丈夫です。脱水症状が酷かっただけなので。胃腸炎でした」

『そっか。具合はどう? 良くなった?』

「はい。今は腹痛も熱もありません。明日は出勤出来そうです」

『イヤ、休みなさい。しっかり治してから出勤しな。そうじゃないと、他の人が体調不良の時に休み辛くなるでしょ? 『この程度じゃ休めない』って無理させちゃう』