最期の晩餐

 悲しすぎて、辛すぎて、自分の情緒がぐっちゃぐちゃで手に負えず、涙も加速度を増して溢れ出す。

【泣いても仕方がない】とはよく言うが、私からしたら、笑っても怒っても歌っても仕方がないと思っている。だって私は役者でも歌手でも何でもない。私の喜怒哀楽や歌声には価値がない。『でも、あなたの笑顔が周りを笑顔にして、それが連鎖反応を起こしてみんなが笑顔になれるのよ』などと、どこかの良く分からない団体が言いそうだけど、自分の笑顔にそんな力があるなんて、そんなおこがましい考えはない。仕方がないから泣くしかないのだ。

『こうなったら、飽きるか疲れ果てるまで泣いてやろうではないか』と、ベッドから身体を起こし、枕元に箱ティッシュとゴミ箱をセットした。

 涙涸れ果てるまで泣いてやろうではないか。と意気込んでベッドに入り直したとこで、

「……あー、薬飲んでないじゃん」

 早速薬を飲み忘れていることに気が付く間抜けな私。要領の悪い自分に苛立ちながら被っていた毛布を剥がし、もう一度ベッドから起き上がる。

 クローゼットに入れもせず、フローリングに置きっぱなしにしていた通勤鞄を開け、クリニックで処方された薬の袋を手に取った。(余談ですが、鞄を放置したのは身体の具合が悪いからではなく、いつものことです。どうせ明日も使うのに、片づける意味が分からないのです。『だらしのない女』なんて呼ばないで。時短です。『せめて壁掛けに吊るしとけよ』と言いたいですよね? そんな気の利いたものはウチのアパートにはございませんし、取り付ける予定もありません。なくても不便を感じていないので)