最期の晩餐

「イヤイヤイヤ、こんな状況になったのは林田さんの暴君が原因じゃないですか」

「暴君……。林田さんね、奥様を癌で亡くされてるのよ。何とかして助けたくて、キツイ抗がん剤治療を選んだそうなの。そしたら奥様、あっと言う間に食欲失くされて、栄養補給は最期まで点滴だったんだって。林田さん、『自分は料理人なのに、最期に美味いもんを食わせてやることも出来なかった』って凄く後悔してらして……。だから林田さん、奥さんが亡くなるまで持っていた自分の店を畳んでここに来たんだって。奥様のような患者さんが亡くなる前に、せめて自分の好物を作って差し上げたいって一生懸命なのよ」

 心優しき森山さんは、林田さんの気持ちを汲み取り、有休が取れないことに納得しているようだった。

 林田さんの気持ちは分かる。でも、このままでは森山さんが我慢をし続けなければならない。

 何だかなー。と腑に落ちないまま夕食の時間になった。

 誰かコピーロボットを作ってくれないだろうか? 若しくは、実は生き別れた双子の妹がいて、その子も栄養士か調理師になっていて、「お待たせ‼ 助けに来たよ‼」とか言いながら突然現れたりしないだろうか? などという妄想が脳内を駆け回るほどに忙しい。  オーダー食を出し終わった頃には白目を剥いた。それほどまでに頑張って作ったオーダー食の食べ残しチェックをすると、