ガーベラの花束をキミに

「きれいな絵・・・。誰が描いたんだろう」
 私は、ある絵に、くぎづけになった。
 ・・・それは、花の絵だった。
 なんの花か、分からないけれど。
 でも、すごくきれいな絵だった。
「さすが、大賞とる人の絵は違うね」
「そう、だね」
 私と、友達が描いた絵が、賞をとって、ここに飾られている、と聞いたから、2人で見に来たのだ。
 私は、銅賞。友達は、入賞だった。
 私は、この絵の題名を見る。
 『10月の誕生花〜ガーベラ〜』
 この花、ガーベラなんだ・・・。
 と思う。
 まあ、ガーベラを知らなかったんだけど。
「ガーベラ、って色んな花言葉あるよね。本数によっても、花言葉って変わるし。・・・でもこれ、2本だね。2本、って花言葉なかったと思うんだよね。1本だと、一目ぼれ、3本だと、あなたを愛しています。・・・分かってて描いたのかな?」
 ガーベラ・・・。
 正直、友達の話は聞いていなかった。
 ただ、この絵を描いた人と、同じ学校に行きたい。
 唐突にそう思った。
 題名の札をよく見る。
 『10月の誕生花〜ガーベラ〜 天音中学校3年 一ツ橋(ひとつばし) 奏眞(そうま)』
 3年生なのか・・・。
 じゃあ、もうすぐ卒業か・・・。
 どこの高校に行くんだろう。
 すると、
「お、あったあった。お前の絵。やっぱ上手いよな〜」
 と言う声と共に、2人の男の子がやって来た。
 私よりも、10cm以上高い。
 お前の絵、ってことは、もしかして、一ツ橋 奏眞と、そのお友達⁉︎
「さすがだわ。・・・しかも頭も良い、って、羨ましすぎるだろ。・・・お前、鈴の音、受かったんだろ?」
「うん。そこ行くつもりだし」
 ゔぇっ⁉︎す、鈴の音⁉︎
 鈴の音大学附属高校(すずのねだいがくふぞくこうこう)は、ものすごい進学校で、お母さんの母校。
 だから、お母さんは私に、そこに行って欲しい、って思ってるみたい。
 私は、陽啓高校(ようけいこうこう)、っていうちょっとランクが下の学校に行きたかったんだけど・・・。
「っていうか、お前だって受かってただろ」
「まあね。でも、俺は絵とか描けないから」
 ふ、2人とも鈴の音なんだ・・・。
「ね、あの2人、イケメンじゃない?」
 友達が、私にそう話しかける。
 一ツ橋くんらを指しているようだ。
「うん。確かにね」
 私は、一ツ橋くんと同じ高校に行きたい、と思った。
 同じ高校に入れば、会えるかもしれない。
 一ツ橋くんが、美術部に入れば、絶対に会える。
 「誰なんだろう〜」と友達が隣で言っている。
 私は密かに、鈴の音に行こう、と決めた。