段々と部屋に閉じこもって
『るい』を眺めることが多くなった。

親から虐待を受け。

裏切られるのが怖くなった私は友達も作れず。

勉強もスポーツも頑張る意味を無くした。

私にはここだけが居場所だ。

生きる意味だ。

私に居場所をくれた『るい』に、
恩返しがしたい。

そう思い、いつの間にか『推し』に変わった。

今日も配信を見ながら部屋に閉じこもる。

配信の内容はコメントの質問を一つ一つ答えるというもの。

一生懸命考えながら丁寧に答えている。

そんな彼を見て、ふと天井を見上げた。

（神様、どうして私はこんな風になれないの？

努力できる人間に戻りたいなぁ。）

天井を見上げながら聞いてみる。

もちろん返事は帰ることなんて無い。

ーはずだった。

「もう一回、挑戦してみたらどうかなぁ？｣

画面に目を向けると、手が勝手にコメントしていて、『るい』が答えてくれていた。

｢きっと、辛いことがあったんだと思うけれど

努力し続けた先に光はあるから。」

「もし、納得できない答えになったとしても、

僕が優しく慰めるから。ね？」

"納得できない答え"…。

"失敗"と言わない彼の優しさ。

偽りのない笑顔…。

心配にさせない強い心。

嘘だと思った。

夢だと思った。

期待したらダメなのに。

信じたらダメなのに。

最後には裏切られるだろうに。

それでも私は期待してしまった。

彼の光を信じてー。