誰かに褒められることが好きだった。

小さい頃、お父さんが私に言った。

「お母さんがせっかく作ってくれたから残さず食べなきゃな。」

グリンピースの入った料理を見て私は息を飲んだ。

(苦手なグリンピースだけど、残したら悪い子だから…。)

目を瞑って口に入れた。

正直、食べたくなかった。

眉をひそめている私にお父さんとお母さんは微笑んだ。

それから、幼稚園では鉄棒を頑張った。

苦手だった逆上がりを何十分も何時間も必死に練習した。

汗を沢山流して成功させた逆上がりを両親に、先生に、友達に見せたら一緒に喜んでくれた。

「すごいなー!!」
「日向ちゃん、教えてぇー。」

褒められるのが、頼られるのが好きだった。

「いいよー!!」

(頑張って良かった。)

そう思えた。

小学校でテストは百点。色々な賞も取った。

みんな口々に褒めてくれる。

ーでもそれは小学中学年で終わり。

無邪気に頑張って褒めて貰えるのは高学年ではもうない。

「何であの子が…。」

「あいつなんかに…!」

「私の方が頑張ってるのにー。」

嫌味をぶつけられることが多くなった。

ーそして、虐めが始まった。

捨てられる上履き。

落書きされた教科書。

下校中に投げられる石。

みんな私を見ながらクスクスと笑って、生きた心地がしなかった。

私は友達に見放された。

そしてー。

私が虐めにあっていると分かっていながら、
見て見ぬふりをする先生。

私は先生にも見捨てられた。

あんなに褒めておいて、裏切られた。

でも私にはお父さんとお母さんが居るからー。