それから何となく画面越しに彼を見た。

見ている時間は心が楽になった。

私は"道具"じゃないんだって思えた。

『私もこんな風になりたい。』

いつしか"夢"に変わっていた。

それからは沢山のことを調べた。

『ただ見るだけじゃない。知りたい。』

そう思えたのは久しぶりで。

"希望"をくれた画面越しの彼に少しでも近づきたかった。

調べてみると彼は"アイドル"で
名前は『るい』というらしい。

"アイドル"とはどんなものかを知らない私は
片っ端から調べた。

人気が少ない図書室で一人、黙々と本を読み漁る。

『夢と希望を与える仕事』

そう書かれた字の横にはランニングをしている『るい』の写真が貼ってあった。

辛そうに、でも楽しそうに、

顔を歪める彼を見て

昔の自分が重なった。