私の顔を乗っ取った人面瘡が陽キャで困っています。

嫌な予感が的中した。人面瘡が、機嫌良く歌いはじめた。とびきりの美声で。だが、迷惑!!
すると、
「きみ! 高校生かい!?」
案の定、ビラ配りのおじさんに声をかけられてしまった。あっ、逃げよ。
「自分の意見を持っていて素晴らしい!
ぜひ、もっと聞かせ、あああああ、足速いねぇ、きみー!!」

私は、あわててその場から逃げ出す。人面瘡のせいで逃げ足がやたらめったら速くなった。

「きみ! 良い声で歌ってるね! 芸能界に興味ない!?」
と、別のおじさんにつかまって半泣きになる。後ろには政治ビラ配りのおじさん。前にはスカウトのおじさん。逃げよう!!

「顔半分隠してるなんてビジュアルも良いね! 是非、うちの事務所に!」
「芸能界には興味ない。興味あるのはあの子のここ、」
私は、再び歌いだした人面瘡をガーゼの上からきっちりと押さえ、ダッシュでその場から逃げだした。