「おい、起きろ瑠々。おーい」
 るきの声で、起こされた私・瑠々。
 私はいつも、兄である、るき・・・瑠姫斗に起こしてもらっている。
「そんな大声出さなくても・・・・・・」
「は?これくらい出さないと、お前は起きないだろ?」
 うっ。図星‼
 確かにそうなのだ。
 私は、とても朝が弱い。
 だから、目覚まし時計じゃ、起きられない。
 音を大きくしても、中々起きられない。
「ほら、早く起きろ」
「・・・はーい」
 眠い。


「おはよー、瑠々」
「おはよう」
 天滿中学校(あまみつ ちゅうがっこう)の2年生である、私。
 私は、2年生になると同時にこの学校に転校してきた。
 今では、すっかり打ち解けている、はず。
「・・・ん?瑠々、なんか元気なくない?」
「そ、そう?」
 実は、今日起きられなかったのには、ちょっとした理由がある。
 それは、誰にも言えないような、秘密。
「なんか、らしくないね」
 らしく、ない?
 私らしい、って、なんだろう?
 みんなの中の私は、多分、本当の私じゃ、ないよ?
「そ、そうかなぁ?」
 そうだよ〜、と笑うクラスメート。
 今日、私は元気ではいられない。
 今日、というか、これから1週間くらいは。
「おい、みんな何やってる。早く席につけ」
 は〜い、と席に座る生徒たち。
 私も、仕方なく席に座る。
 私の席は、ありがたいことに、廊下側だった。
 ふいに廊下を見ると、ある男の子が、沈んだ顔をして、3組のほうに歩いているのが見えた。
 誰なんだろう、あの子。