こつ、こつ、こつ。


『ぐあぁぁぁぁ!!!!』


つんざくような悲鳴が響く。


五月蝿い。


ナイフを心臓に突き立て、息の根を止める。
毎日毎日、同じことの繰り返し。


それでいい、それだけが私の取り柄なのだ。


ふと、顔に光が当たる。


見れば、薄く開いた扉からひかりが漏れ出ていた。


(まだ誰かいるのか…?ここにいる人間はこれで全てのはず…)


きい、と用心深く戸を開く。


開ければ、不快な臭いが鼻を掠める。


血と、汗と、性液の臭いだ。


ベットルームのようなそこには、小さな何かが横たわっていた。


それはゆっくりと起き上がり、こちらを捉える。



群青だ。




群青の瞳が、こちらを見ている。


痩せ細ったからだはあばらが浮いていて、病的なほどに白い。
片目は眼帯で隠されており、茶の長い髪を一つにまとめている。


何よりも、その群青はどんな宝石より美しく恐ろしかった。