怖い。
今日もだ。今日も奴が居た。
大学からの帰り道、人気など皆無と言って差し支えなく、申し訳なさそうに街頭が照らすだけの薄暗い住宅街。
靴の踵がアスファルトを打つ音だけが静寂のなか響いていた。
奴はただただじっとこっちを見ている。真っ赤に充血した目でまるで俺の体を射抜くように・・・
そう、奴とは生首の事だ。
強迫観念すら呼び起こすような黒髪は肩のラインまで伸ばし、その髪の間からただこちらを睨み付けていた。
奴は俺の身長より三十センチほど高い、二メートルぐらいの塀から首だけを出しこちらを見ている。だからと言って他に何かをする訳ではない。ただただ沈黙を守り睨むのだ。
なるべく生首を見ないように視界の隅に追いやり、歩いていく。十メートルぐらいの距離になると生首は姿を消す。
ただそれだけ。
今日もだ。今日も奴が居た。
大学からの帰り道、人気など皆無と言って差し支えなく、申し訳なさそうに街頭が照らすだけの薄暗い住宅街。
靴の踵がアスファルトを打つ音だけが静寂のなか響いていた。
奴はただただじっとこっちを見ている。真っ赤に充血した目でまるで俺の体を射抜くように・・・
そう、奴とは生首の事だ。
強迫観念すら呼び起こすような黒髪は肩のラインまで伸ばし、その髪の間からただこちらを睨み付けていた。
奴は俺の身長より三十センチほど高い、二メートルぐらいの塀から首だけを出しこちらを見ている。だからと言って他に何かをする訳ではない。ただただ沈黙を守り睨むのだ。
なるべく生首を見ないように視界の隅に追いやり、歩いていく。十メートルぐらいの距離になると生首は姿を消す。
ただそれだけ。