「え、それ、何で隠してるの?占い師なんて凄いじゃん!」
優木くんにそう言われ、照れるわたし。
わたしは柵に乗せていた腕を下げると、今度は柵を掴み、その手に視線を落とした。
「占い師ってさ、インチキとか洗脳とか、あまり良いイメージ無いじゃない?だから、自信を持って言えなくてさ。」
「あぁ、、、確かに、そうゆうイメージを持つ人は居るだろうな。でも、それは、占いを人を騙して金を稼ぐ道具にしてる奴らが居るからであって、全員が全員そうじゃないなのになぁ。」
「うん、、、でも、やっぱりそうゆう人たちがいるから、どうしても"占い師"って言っちゃうと"お金を稼ぐ為に騙す職業"って思われる気がして、言えなくて、、、」
わたしがそう言うと、優木くんは「でも、俺は春束がそんな奴じゃないって分かってるから。」と言ってくれた。
「だから、"カウンセラー"って言うようにしてるのか。」
「うん。でもね、実際、、、占い師ってカウンセラーとあまり変わらないって、わたし自身は思ってて。人の悩みを聞いてアドバイスする仕事だと思ってるから。多分"占い"って聞くと、当たるとか当たらないとかってイメージがあると思うんだけど、そうじゃなくて、、、わたしはお客さんに幸せになって欲しいから、アドバイスをしてる感覚なの。それを参考にするかしないかはお客さん次第で、それで当たらないって言われちゃったら、それまでだけどね。」
わたしがそう言って、作り笑いを浮かべると、優木くんは「春束らしいな。」と言った。
「そう?」
「うん、、、春束は、いつも、、、誰かの為に一生懸命になる人って思ってたから。自分の幸せの為に一生懸命になる人はたくさんいるけど、人の幸せを願うって、簡単なことじゃない。春束は、占い師って職業に誇りを持っていいと思う。」
優木くんの言葉に、わたしは何だか拍子抜けしてしまい、身体の力が抜けた。
"占い師って職業に誇りを持っていい"
そんなこと言ってくれる人が居るんだ、、、
すると、「優木くーん!こんなことに居たの?探したよぉ!」と複数の女子たちが優木くんを求めてやって来た。
優木くんは苦笑いを浮かべると「見つかっちまった。」と呟き、それからわたしに「春束、LINE教えてくれない?」と言った。
「え、わたしの?」
「うん。もっと春束と話がしたい。」
そして、わたしたちは急いでLINE交換をした。
「優木くーん!早くー!」
急かされる優木くんは「連絡するから、また今度な!」と言い、女子たちに囲まれて戻って行った。
優木くんのLINE、ゲットしちゃった、、、
わたしは信じられない気持ちのまま、LINEのともだち一覧に入った"理人"と書かれたハリネズミのアイコンをしばらく眺めていたのだった。



