憂いにひだまり


あれから、理人のEDは改善され、わたしたちは何の問題もなく愛し合うことが出来た。

そして、交際開始から3ヵ月で理人からプロポーズを受け、わたしは承諾した。

交際3ヵ月で結婚だなんて、一般的には早すぎると思われるだろう。

でも、わたしに不安はなかった。

理人となら大丈夫。
わたしたちなら、どんな高い壁も共に乗り越えていける。
理人となら、喜びも悲しみも分け合っていける。

そんな自信がわたしの中にはあったのだ。

お互いの両親に挨拶を済ませ、婚姻届は二人で一緒に提出しに行き、無事に受理され、わたしは晴れて優木咲弥となった。

それから新居はというと、わたしたちは新しい家を借りることなく、わたしが理人の家に引っ越す形にした。

「本当にここでいいの?」
「うん、わたしたちの思い出がたくさん詰まってる家だもん。もし家族が増える時がきたら、その時に引っ越せばいいじゃない?」

わたしがそう言うと、理人は微笑み「そうだな。」と言った。

そして結婚してから、わたしは自分のお店を理人の家、いや、わたしたちの家の近くに移転させた。

今まで自分の仕事に自信が持てなかったわたしだが、理人と一緒に居るようになってから、自分の仕事に誇りを持てるようになった。

それは理人のおかげだ。
理人がわたしに自信を持たせてくれたのだ。

「理人、忘れ物ない?」

今日は水曜日。
理人は午前診療だけで、わたしは休みなので出勤する理人を玄関まで見送る。

すると、理人は「あ、忘れ物ある。」と言い、わたしが「え!何?!」と言うと、不意にキスをしてきた。

「これで忘れ物なし。」
「もう。」
「じゃあ、いってきます。」
「いってらっしゃい。」

手を振って理人を見送ると、わたしはリビングへ向かい、リビングの入口で立ち止まった。

交際期間は短いけど、たくさんの思い出が詰まったこの場所。

最初に語り合ったあの日が懐かしいなぁ。

わたしたちはお互いの秘密を打ち明け、克服出来たが、それでもわたしたちの関係には何も変わりない。

わたしたちは、秘密同盟なのだから。



―END―