憂いにひだまり


そして、薬局で購入したものは、もちろん避妊具。

優木くんは薬局を出ると、避妊具が入った紙袋に視線を落とし「これ買ったの久しぶりだなぁ。」と呟いたあと、「でも、、、使わないで終わる可能性もあるよなぁ、、、」と自信なさげに言った。

「使わなかったら使わなかったでいいじゃない。」

わたしがそう言うと、優木くんは「え?」と歩く足を止めた。

「だって、わたしたちは今日から始まったばかりなんだよ?この先、たくさん時間はあるんだから。何日、何ヵ月、何年経ったっていいじゃない?」
「もし、その時がじいさんになってからだったら、ウケるな。」
「それなら、それはそれで嬉しいことじゃない!わたしは何年かかっても、もしそれがおじいちゃんおばあちゃんになった時だったとしても、、、わたしは、優木くんを受け入れるよ?」

優木くんはわたしの言葉に薄っすらと涙を滲ませると、突然わたしを抱き締めた。

「春束!大好きだ!」
「え!ちょ、ちょっと優木くん!周りに人がいっぱい、、、」
「そんなの気にしない。」

驚いたわたしだったが、人目も気にせず心のままに抱き締めてくれた優木くんの気持ちが嬉しくて、わたしは優木くんの背中にゆっくりと腕を回した。

それからわたしたちは、優木くんの家に帰宅した。

それぞれ順番にシャワーを浴び、わたしは優木くんのバスローブを借りて着たのだが、サイズが大きくてブカブカだった。

そして二人で寝室に入り、ベッドへ上がると、向かい合わせで正座をする。

わたしの心臓はドクンドクンと優木くんまで聞こえてしまうのではないかと言うほど緊張で音を鳴らしていたが、きっとわたし以上に優木くんは緊張しているはず。

わたしたちは見つめ合うと、優木くんの緊張を少しでも解す為にわたしは微笑んで見せた。

すると優木くんも微笑んでくれて、それからわたしに顔を寄せると唇を重ねた。