憂いにひだまり


優木くんからだ、、、

わたしは少し躊躇ったが、緊張で強張る指で"通話"の方にスワイプをした。

「、、、もしもし?」
「あ、もしもし?春束?こんな時間に電話してごめん。」
「ううん、大丈夫だよ。どうしたの?何かあった?」

わたしがそう訊くと、優木くんから「あぁ、、、えっと、、、」と言葉を探しているような感じが伝わってきた。

それから優木くんから出てきた言葉は「春束の声が、聞きたくて、、、」だった。

「え、、、」
「あ、迷惑だったよな。ごめん、ただ声が聞きたくて電話するなんて。今日予定あったなら疲れてるよな。ゆっくり休んで!じゃあ、また来週な!」

そう言われ、わたしは「あ、優木くん!」と言ったのだが、その途中で電話は切れてしまった。

電話が切れてしまったスマホを耳から離し、画面を見つめる。

切れちゃった、、、

"春束の声が、聞きたくて"

わたしの声が聞きたくて電話をくれるなんて、、、

わたし、嘘をついて優木くんとの予定をキャンセルしちゃったのに、、、

優木くん、ごめんなさい、、、
嘘ついてごめんなさい、、、

わたしはスマホを抱き締めたまま泣いた。

わたしも優木くんの声が聞きたかった。
本当は、会いたかった、、、