憂いにひだまり


湯川さんは軽く会釈すると「湯川っす!」と言い、優木くんとは正反対のちょっとチャラいタイプのように見えた。

「春束咲弥です、初めまして。」

わたしがそう自己紹介をすると、湯川さんは「理人、咲弥ちゃんのこと、まだ彼女ではないって言ったよな?じゃあ、俺が狙っても問題ないよな?」と言った。

「問題ありありだよ。お前は絶対ダメだ!」
「何でだよ、咲弥ちゃん美人だし、結構俺のタイプ。」
「湯川に春束は譲れない。」
「おぉっ!珍しく理人が本気だ!」
「いいから、午後診療の方頼んだぞ。」
「はい、了解了解!」

湯川さんはそう言うと、「またね!咲弥ちゃん!」と言い、奥の部屋へと入って行った。

「春束、ごめんな。あいつ馴れ馴れしくて。」
「ううん。面白い人だね。」

優木くんは苦笑いを浮かべると、「悪い奴じゃないんだけど、浮気癖のあるやつでさ。」と言い、それから「すぐ帰る支度してくるから、ちょっと待ってて!」と言い、更衣室らしき場所へ入って行った。

それから帰る支度が済んだ優木くんと共にわたしは、優木くんの自宅へと帰宅した。

今日の夕飯はビーフシチュー。

すると、優木くんが「春束って、ビーフシチューはパンで食べる派?それともご飯?」と訊いてきた。

「わたしはご飯派かな〜?」
「だよな!俺も!」
「ビーフシチューって、パンで食べるイメージがあるけど、やっぱりご飯だよね!」
「良かった、仲間がいて!嬉しい!」

そんな会話をしながら、わたしたちはビーフシチューを作り、今夜も赤ワインを共にして語り合ったのだった。