憂いにひだまり


わたしはゆっくりと扉を開け、中を覗いた。

すると、病院らしい消毒のニオイが鼻にツンときて、左側に受付らしき場所が見えた。

わたしは中へ入り、ゆっくり扉を閉めると、扉のすぐ横に置いてあったアルコール消毒で手指消毒をし、その横に置いてあった箱からマスクを一枚取り出して、念の為に装着した。

わたし、ここで待ってていいのかなぁ。

そう思っていると、バタバタと通り過ぎて行く看護士さんたちからジロジロ見られ、何だか居心地が悪かった。

やっぱり外で待ってようかな、、、

そう思った時、"STAFF ONLY"の扉が開き、外からわたしと同世代くらいの男性が中に入って来た。

そして、その男性はわたしの姿に目を丸くすると「誰?新人さん?」と訊いてきた。

「あ、いや、違うんです!」
「ここ、関係者以外は立ち入り禁止だよ?」

そう言われ、わたしが外に出ようとした時だった。

「俺の大事な関係者だよ。」

その声にふと振り向くと、そこには白衣姿の優木くんの姿があった。

優木くんの白衣姿初めて見た、、、
かっこいい、、、

「えっ?もしかして、理人の彼女?!お前、ようやく女作る気になったのかぁ!」
「んー、正確にはまだ彼女ではない、、、けど、俺の大事な人。」

優木くんはそう言うと白衣を脱ぎ、「春束、ごめんな。わざわざ来てもらっちゃって。」と言った。

「ううん、大丈夫。」
「それから、こいつが失礼した。こいつが俺の研修医時代からの友達で湯川。」

優木くんはそう言いながら、湯川さんを親指で指した。