憂いにひだまり


乾杯をして、ワイングラスに口をつけ、白ワインを口に含む。

すると、軽くて甘い白ぶどうの味が口の中に広がった。

「ん!この白ワイン飲みやすい!」
「気に入ってもらえたなら良かった。」

優木くんはそう言うと、ワインに口をつけ、それからチキンを切り分けてくれた。

「そういえば、今更なんだけどさぁ、、、」

わたしがそう言うと、優木くんは不思議そうな表情で「ん?何?」と言った。

「優木くん、彼女居たりしないよね?」

わたしの言葉に優木くんはぶはっと笑うと「彼女居たら、春束を家に呼ばないよ!」と言った。

「だよね〜!」
「それに、家に呼んだのは、居酒屋だと人が大勢で春束が落ち着かないんじゃないかと思ったからで、、、レストランとかだと、語り合うのに相応しくない場所だと思ったからだよ。」

優木くんの言葉にわたしはハッとした。

わたしが大勢の中が苦手って言ったから、配慮して家に呼んでくれたってこと?

優木くんって、、、どこまで気が使えて優しいの?

「逆に春束は?彼氏居ないの?」
「居ない居ない。もうかれこれ6年は居ないね。」
「マジ?俺も!」
「嘘ぉー!優木くんモテるでしょ?!何で?!」

わたしがそう訊くと、優木くんの表情が切なげに変わり、わたしは軽い気持ちで"何で?"と訊いてしまったことを後悔した。