憂いにひだまり


車を走らせて30分も経つと、優木くんは「そろそろうちに着くよ。」と言った。

そして、着いたマンションは8階建てのデザイナーズマンション。

しかし、わたしはある意味で驚いた。

こう言っちゃ優木くんに失礼になっちゃうけど、、、
お医者さんって、もっと立派なマンションとか、タワマンとかに住んでるイメージがあったからだ。

駐車場に車を停め、歩き出す優木くんについて行く。

どうやら、優木くんの家は最上階の8階らしい。

「どうぞ。」

そう言って優木くんが開けた805号室。

デザイナーズマンションなだけあって、造りはお洒落。

でも、広さ的にはわたしが住むマンションとさほど変わりはなかった。

「お邪魔しまーす。」

そう言って廊下を通り、リビングへと進む。

ここが優木くんの家、、、

わたしがリビングの入口で部屋の中を見渡していると、「どうしたの?医者の割に狭い家に住んでるんだなぁ〜と思った?」と優木くんは笑いながら言った。

「あ、いや、、、狭いとは思ってないけど、お医者さんって無駄に広いマンションとかタワマンに住んでるイメージがあって、、、あ!わたしの勝手な印象だけどね!」

わたしがそう言うと、優木くんは「春束は正直だなぁ。」と言って笑った。

「まぁ、確かに周りの医者の友達はそうかな。でも、俺は、、、タワマンとか広い家が苦手というか、落ち着かなくてさ。俺には、これくらいが丁度いいんだよ。」

優木くんはそう言って対面キッチンに入って行くと、「まぁ、テキトーに座って!」と言った。

ってことは、タワマンに住めるくらいの収入はあるってことだよね。
だけど、敢えて一般的な普通のマンションを選んで住んでいる。

優木くんって、、、良い意味で医者なのに、医者らしくなくて、わたしは凄く好感が持てた。