俺は生まれてからずっとここにいた。
ほんとは何も楽しくなくてだけど周りには迷惑をかけたくないからいつまで経っても人の目を気にして、子どもぽくあしらってた。
本当は学校も親と旅行もみんなと同じようにしたかった。でもいつからかそんなことも諦めるようになって、一人で病院を抜け出して河川敷で空を見ていた。それをもう5年くらい繰り返してる。
どうせ死ぬのに、こんなに生きさせられてただ地獄だった。親も議員の人で滅多に会いに来てくれない。きっと健康な妹の方が大切なんだろうな。まだ3回しか顔みたことないけど。
だけどあの日女の子に出会って俺は変わってしまった。
まず河川敷で寝てる人なんて俺以外に今までいなかった。
そこから惹き付けられて見に行ったら、覗き込んでも揺らしても起きなくてでもちゃんと息はしてて
……なんか、俺と同じ匂いがした。
“生きることに疲れた人間”の匂い。
観察してたらなんかすごく綺麗な顔しててまつ毛が長くて人ってこんなに幸せそうな顔で寝れるんだとか考えてたら急に息を吹き返したように起きた
この感じ多分気絶してたんだろうな
「やっと起きたね、死んだかと思った」
俺は、無意識にそう言ってた。
「だ、誰?」
初めて聞いた声。
その子は俺より少し年上っぽくて目付きが敵を見るようでちょっと怖かった
「酒井満桜。あっちの病院に入院してる。君は?」
「リナ……柳田リナ」
その名前を聞いた瞬間、何かが心に引っかかった。
柔らかい声だった。名前に似合ってた。
ちょっとだけ話しただけなのに、
その時間が、妙にあったかくて、長く感じた。
「あ、やばい!今何時!?」
焦った顔でリナが言った。もう帰っちゃうのか
だけど時間は4時半で俺もそろそろ帰らないと行けなかった
「俺、毎日ここ来てるからさ。また見かけたら声かけるな!」
俺は気づいたらそう言ってた。
普段俺は約束なんてしない
守れるか分からないから
あの日、久しぶりに自然と笑えた気がした。
リナは走って帰っていった。けど──
その背中を見ながら、俺の中で何かが変わっていくのを感じてた。
次の日も、その次の日も、俺は彼女のことを考えてた。
病室の白い天井が、ほんの少しだけ違って見えた。
「また会いたい」
そう思える人が、この世界に一人でもいるって、
それだけで“生きてる”って気がした。
きっとリナはあの日、怒られたんだろう。
だけどまた俺に会いに河川敷にいた
リナと出会って1週間後俺が遅れた理由は看護師と話してたからじゃない
もしもう愛想尽かして来てくれてなかったら、とかもう期待したくなかったから。
だけどリナはそこにいた。
そこから俺はリナを好きな人と意識するようになった
だけど俺は4月まで生きてるか分からない
未来なんて最初から存在しない。
それなのに、願ってしまう。
“嘘でもいいから、もっと君の隣にいたい”って
リナを抱きしめたのも、夜電話をかけたのも、カーテンを開けさせたのも、手を、、繋いだのも
リナのこと、訳が分からないくらい好きだったから
リナに寄り添いたくて、リナの心の中心になりたくて。
リナが小指を繋いできたのは予想外だったけど
俺と同じ気持ちだったらいいな、、、
リナと、たわいも無い会話をするのが好き
リナの笑顔が好き
リナの性格もなにもかも全部
初恋だった。
昨日リナに好きだって言いそうになった
だけど俺はもうすぐ死んじゃうから
誤魔化して言えなかった
いや言ってはいけない。
あの言葉は、
生きることを前提にした人間にだけ、許されるものだから。
「好き」って言葉は、
そのあとも隣にいられるっていう“未来の保証”みたいなもんで。
俺には、その権利がない。
それなのに、どんどん欲が出てくる。
今日も、明日も、来週も、リナと会いたいって思ってしまう。
心が勝手に、希望ってやつを作ってしまう。
夕日が差す時間になると、
体調が悪くても、無理やり抜け出して河川敷に向かってしまう。
リナは、何も言わずにいつもそこにいる。
俺を待ってるとか、口にしたことはないけど
たぶん俺と同じくらい、会いたいって思ってくれてる気がする。
でも、体は正直だった。
最近は咳がひどくなってきた。
夜中、呼吸が浅くて目が覚めることも増えた。
先生は言葉を濁してるけど、きっともう分かってる。
だけど無理をしてでもリナに会いたい
実は今日、悪化してきているせいか緊急手術することになった。大掛かりな手術ではないけど。
リナには言えなかった
リナ今きっと自分のことでいっぱいいっぱいだから、迷惑かけたくなかった
一日中リナと電話したかったなぁ
もしかしたら今日そのまま死ぬかもしれない
リナの手術が終わっても俺はもうこの世にいないかもしれない
そんなことを考えながらもし死んでしまった時のために今リナに手紙を書いている
ここに全部ぶちまけようと思う。リナの気持ちもずっと誰にも言えなかった本音も、全部──。
「リナちゃんだいすきだよっ」
俺はリナの病室を見ながらそう言った。届くはずもないのに
カーテンの向こうは先生とリナが話してる
「上手くいくといいね」
大切なことはいつも本人に伝えれない
こうしている間に手術の時間になった
「満桜くんきっと大丈夫だよ」
そう先生は麻酔をかけながら俺に言った
きっとなんて無い
だけど覚悟を決めた
先生にもし俺が死んだらリナに手紙を渡して欲しいと伝えて眠った
最後にリナの可愛い笑顔を思い浮かべて。
ほんとは何も楽しくなくてだけど周りには迷惑をかけたくないからいつまで経っても人の目を気にして、子どもぽくあしらってた。
本当は学校も親と旅行もみんなと同じようにしたかった。でもいつからかそんなことも諦めるようになって、一人で病院を抜け出して河川敷で空を見ていた。それをもう5年くらい繰り返してる。
どうせ死ぬのに、こんなに生きさせられてただ地獄だった。親も議員の人で滅多に会いに来てくれない。きっと健康な妹の方が大切なんだろうな。まだ3回しか顔みたことないけど。
だけどあの日女の子に出会って俺は変わってしまった。
まず河川敷で寝てる人なんて俺以外に今までいなかった。
そこから惹き付けられて見に行ったら、覗き込んでも揺らしても起きなくてでもちゃんと息はしてて
……なんか、俺と同じ匂いがした。
“生きることに疲れた人間”の匂い。
観察してたらなんかすごく綺麗な顔しててまつ毛が長くて人ってこんなに幸せそうな顔で寝れるんだとか考えてたら急に息を吹き返したように起きた
この感じ多分気絶してたんだろうな
「やっと起きたね、死んだかと思った」
俺は、無意識にそう言ってた。
「だ、誰?」
初めて聞いた声。
その子は俺より少し年上っぽくて目付きが敵を見るようでちょっと怖かった
「酒井満桜。あっちの病院に入院してる。君は?」
「リナ……柳田リナ」
その名前を聞いた瞬間、何かが心に引っかかった。
柔らかい声だった。名前に似合ってた。
ちょっとだけ話しただけなのに、
その時間が、妙にあったかくて、長く感じた。
「あ、やばい!今何時!?」
焦った顔でリナが言った。もう帰っちゃうのか
だけど時間は4時半で俺もそろそろ帰らないと行けなかった
「俺、毎日ここ来てるからさ。また見かけたら声かけるな!」
俺は気づいたらそう言ってた。
普段俺は約束なんてしない
守れるか分からないから
あの日、久しぶりに自然と笑えた気がした。
リナは走って帰っていった。けど──
その背中を見ながら、俺の中で何かが変わっていくのを感じてた。
次の日も、その次の日も、俺は彼女のことを考えてた。
病室の白い天井が、ほんの少しだけ違って見えた。
「また会いたい」
そう思える人が、この世界に一人でもいるって、
それだけで“生きてる”って気がした。
きっとリナはあの日、怒られたんだろう。
だけどまた俺に会いに河川敷にいた
リナと出会って1週間後俺が遅れた理由は看護師と話してたからじゃない
もしもう愛想尽かして来てくれてなかったら、とかもう期待したくなかったから。
だけどリナはそこにいた。
そこから俺はリナを好きな人と意識するようになった
だけど俺は4月まで生きてるか分からない
未来なんて最初から存在しない。
それなのに、願ってしまう。
“嘘でもいいから、もっと君の隣にいたい”って
リナを抱きしめたのも、夜電話をかけたのも、カーテンを開けさせたのも、手を、、繋いだのも
リナのこと、訳が分からないくらい好きだったから
リナに寄り添いたくて、リナの心の中心になりたくて。
リナが小指を繋いできたのは予想外だったけど
俺と同じ気持ちだったらいいな、、、
リナと、たわいも無い会話をするのが好き
リナの笑顔が好き
リナの性格もなにもかも全部
初恋だった。
昨日リナに好きだって言いそうになった
だけど俺はもうすぐ死んじゃうから
誤魔化して言えなかった
いや言ってはいけない。
あの言葉は、
生きることを前提にした人間にだけ、許されるものだから。
「好き」って言葉は、
そのあとも隣にいられるっていう“未来の保証”みたいなもんで。
俺には、その権利がない。
それなのに、どんどん欲が出てくる。
今日も、明日も、来週も、リナと会いたいって思ってしまう。
心が勝手に、希望ってやつを作ってしまう。
夕日が差す時間になると、
体調が悪くても、無理やり抜け出して河川敷に向かってしまう。
リナは、何も言わずにいつもそこにいる。
俺を待ってるとか、口にしたことはないけど
たぶん俺と同じくらい、会いたいって思ってくれてる気がする。
でも、体は正直だった。
最近は咳がひどくなってきた。
夜中、呼吸が浅くて目が覚めることも増えた。
先生は言葉を濁してるけど、きっともう分かってる。
だけど無理をしてでもリナに会いたい
実は今日、悪化してきているせいか緊急手術することになった。大掛かりな手術ではないけど。
リナには言えなかった
リナ今きっと自分のことでいっぱいいっぱいだから、迷惑かけたくなかった
一日中リナと電話したかったなぁ
もしかしたら今日そのまま死ぬかもしれない
リナの手術が終わっても俺はもうこの世にいないかもしれない
そんなことを考えながらもし死んでしまった時のために今リナに手紙を書いている
ここに全部ぶちまけようと思う。リナの気持ちもずっと誰にも言えなかった本音も、全部──。
「リナちゃんだいすきだよっ」
俺はリナの病室を見ながらそう言った。届くはずもないのに
カーテンの向こうは先生とリナが話してる
「上手くいくといいね」
大切なことはいつも本人に伝えれない
こうしている間に手術の時間になった
「満桜くんきっと大丈夫だよ」
そう先生は麻酔をかけながら俺に言った
きっとなんて無い
だけど覚悟を決めた
先生にもし俺が死んだらリナに手紙を渡して欲しいと伝えて眠った
最後にリナの可愛い笑顔を思い浮かべて。



