きっとこの恋は忘れない。

12月31日
今日は満桜の誕生日!!
何度も「会ってみたい」ってミオが言うから一緒に祝いに行く

「もう準備できた?ケーキちゃんと持ってよ??」

「もうちょっと待って!まつ毛が言うこと聞かない!!」

妹のミオは根っからのギャルで口も悪い
でも仲良くなったら情があっていい子だったりする
って実は最近知った笑笑

今年最大の大寒波って言われてんのにミニスカだしね。

「お待たせリナ行こ!」

派手なメイクに派手な服でも変じゃなくてすごく似合ってる。今になっては私の自慢の妹


「うわぁリナの彼氏とか緊張なんだが!!やば」

「妹がギャルとか想像もしてないだろうね」


そう言ってミオとリナは自転車を漕ぎ進めた


見慣れたいつもの病院の入口に見慣れない高そうな車が1台あった
その瞬間、何故か胸騒ぎがした



満桜の病室に着いた
満桜が険しい顔して誰かと話をしてる

満桜の両親だ…


満桜の母親が、見知らぬ女の子の手を握っていた。
女の子はつまらなそうな顔で、こっちをチラッと見た。
たぶん、何度か話を聞いたことがある、あの妹だ。

病室の空気が重たい。とてもじゃないけど入る気にはなれない

話が終わったのか3人がこっちに向かってくる。
私は焦って言葉が詰まり、会釈をしたけど素通りして病室を出て行った

「何あの人達。冷たすぎるでしょ」

「やめなさい聞こえるでしょ」

「わぁぁリナちゃん!!!」

満桜が私達に気づいて声を上げた。
さっきの空気は嘘みたいに和やかになった
だけど顔は引きずっている


「おはよ!満桜みて!」

「こんにちわミオでーす!」

「あ、妹さんか!!満桜だよ!よろしくね!!」

「えちょっまって足短っ!!顔ちっさ!かわい!」

「えへへへミオちゃん見た目によらずいいこだねあははは」

「バカにされてるんだよ満桜」

「リナほんとにこの子と付き合ってんの? すっごい小動物感じゃんリス? チンチラ?」

「すぐそうやって動物にすな」


苦笑しながら、満桜は少し照れて目をそらした。
それでも、その目尻はちゃんと笑っていた。


「かわいーじゃん満桜くんリナのどこが好きだったの?」

「リナちゃんっ」

満桜が私の顔をみて助けを求めてきた
そんな顔も可愛い

そういえばそんな話聞いたこと無かったな
すごく気になる

「うっ早く言えみたい雰囲気だ」

「聞きたいよねリナ?」

「き、聞きたい」

「か、かか可愛くてっ優しくて俺のこと一番に考えてくれるところ........かなっ」

「ふっっっっっ//」

私と満桜が顔真っ赤にして俯く

「くそ!!なんだよリア充が!!聞いたあたしが馬鹿だったわ」

ミオと満桜は簡単な自己紹介をした後持ってきたケーキを食べた

ミオが書いたプレートには綺麗に「満桜くんお誕生日おめでとう」書かれてあって何故か感動した

「満桜くんこのケーキリナが作ったんだよ不味かったら別れなよ」

「え〜美味しくなくてもリナちゃんが作ったら美味しく感じるよ??」

「なんだよバカップルが」

「バカップルだもん!ね〜満桜」

私は満桜と手を繋いでミオにわざとらしく見せつける

「おっ写真撮らせてよ」


「やだー恥ずかしい!」

「何を恥ずかしがってのよ、このリア充っぷり見せつけといて!」

「まぁせっかくだし、記念に」

満桜が照れながら私の手をぎゅっと握り直す。
ミオはスマホを構えて、いたずらっぽくにやにやしてた。

「はーい、笑って〜!はいチーズ!」


その写真は、なんでもない日常の中で、きっと一番大事な時間になる。そんな気がした

満桜がすごい顔でケーキ見つめだした
食べたいんだね「待て」されてる犬みたい


「よし!そろそろ食べようか!」

「やったぁ!!!」

満桜の目がキラキラ輝く

「せーのっ、ハッピーバースデー トゥー ユ〜〜♪」

「え、待って待って!歌うの!?恥ずかしい!」

「歌うに決まってんじゃん!ケーキ持ってる方がもっと恥ずかしいからな!」

「ハモるなハモるな!ミオ音外れてるし!」

「はい、ふーーして! 願い事して!」

「……叶うかな?」

ぽつりと、満桜がこぼしたその言葉に、ちょっとだけ胸が詰まった。
でも私とミオはあえて触れず、笑いながら手を叩いた。

笑い声が重なる病室の中。
最初の張り詰めた空気なんて、もうすっかり消えていた。

ミオは話し出すと止まらない。
今ハマってるアイドルの話、バイト先の話、リナの黒歴史を暴露するトークタイムまで。

満桜は食べながら楽しそうに話を聞いていた。
ミオと満桜は性格が似てるのかすぐ打ち解けた

だけど今日ずっと顔色が悪い。
朝の出来事のせいかと思ったけど違うみたい

「満桜気分悪い?顔色悪いよ」

「ちょっと頭痛いだけだよ心配しないで〜」

頭痛いだけには見えないけど、、、

そうして話をしていたら午後11時を迎えた
いつもならもうすでに面会終了だけど、誕生日とのことで今日だけは許してもらった

「はいリナに注目!」

そうミオは言った

実はもう1個満桜の先生に許してもらったことがあった。夜中の外出。
満桜がやりたいと言ってた河川敷で花火をしに行く

「ええ!!花火!ほんとにいいの!?」

だけど許可してもらったのは言わない
きっと満桜は抜け出すという悪いことしてるのが好きだから

「ちゃんと買ってきたよ!ほら!」

手持ち花火線香花火、打ち上げ花火まで入ってるのを買ってきた

「早くやりたい河川敷いこ!!」

満桜の顔が満面の笑みに変わる
喜んでくれて嬉しい


「重っ!マジでフルセットじゃんおもろ!」

「ミオテンション上がってる」

「いや当たり前でしょ、年越しに花火とか映画かよ一生に一度じゃんこんなの!」

私たちはこっそり夜の病院を抜け出して、裏手の小道を歩いていく。

満桜は私の手を握ったまま、時々うつむいて息を整えるようにしていたけどほんとに大丈夫なのか?

河川敷につくと無数の星が広がっていた。
田舎のこの街に街灯は少なく満月が私達を照らした。
朝より風はきつくなくてだけど気温はもうすぐでマイナスに行こうとしていた。

満桜があれはオリオン座だー!とか冬の大三角形だー!とか、すごい興奮してる。可愛いなぁ


「さみぃぃ〜〜!けどサイコー!!」

ミオは叫んで、いちばん最初に手持ち花火に火をつけた。
赤、青、黄色、チカチカと光る火花が風に吹かれて揺れる。

「きれいだね」

「やばいマジ綺麗だわインスタ載せよ」

「ミオ、こっちに花火向けないの!危ないでしょ!!」

「ごめんごめんいやそれより、リナと満桜くんのツーショ撮るべきだろ。花火バックにさはい、ちゅーして」

「しない!!!」

「しろよ!はい、3秒待つよー」

「ミオやめてってば!!」

2人でバタバタしながら笑ってると、満桜がふわっと笑った。

「なんか、夢みたいだなぁ」

その声が、花火の音よりも小さくて。
でも、耳の奥に焼き付くくらい優しかった。

「次は打ち上げ花火っしょ!!」

ミオが勢いよく言って、3人で少しだけ離れて地面に打ち上げ花火をセットする。

「いくよー!3、2、1――」

ドン、と鈍い音がして、夜空にぱっと色が広がった。
赤、青、緑――そして金色の大輪が夜を照らす。

「……うわぁ……」

満桜が空を見上げた。
この綺麗で可愛いくてかっこいい横顔をあと何回見れるのだろうか。そんなことばかり頭に浮かんでしまう

「よし!締めはやっぱり線香花火だ!」

そう言ってミオはストーリーにあげる写真を何度も撮っていた

3人向かい合わせになって線香花火を持った

満桜の頬に、風に紛れて光が反射していた。
いや、それだけじゃない。目元が濡れている気がした。

「満桜?」

「ねえ、リナちゃん」

彼が小さく呼んだ。

「今日さ、生きててよかったってすごく思ってる。こんな幸せな誕生日初めてだよっ」
「俺のためにここまでしてくれてありがとね」

「私も、こんなに喜んでくれて嬉しい」

「でもたぶん、俺……」

「やめて」

思わず遮った。
言葉の続きを聞きたくなかった。
でも、満桜は弱々しく笑った。

「大丈夫、そんな顔しないで。嬉しいんだよ。ミオちゃんとも会えて、リナちゃんとまた笑えて全部ちゃんと、思い出にできた」

ミオが気を利かせたのか、離れたところで背を向けてスマホをいじっていた。

「リナちゃんありがとう。俺のこと、ちゃんと好きでいてくれて」

「バカ、言わないで」

「リナちゃんの全部が、俺にとって……」

満桜の線香花火が落ちた瞬間、除夜の鐘が鳴った

その時だった。

ふ、と。
彼の体から力が抜けて車椅子から落ち地面に倒れた。

頭が真っ白になって、私は駆け寄った。

「ま、満桜っ? ねぇ、ちょっと、ねぇ、冗談でしょ?起きてよ!」

「........」

「ねぇ満桜返事して!!!」

「...............」

満桜の体はダウンを着てるのに氷のように冷たくて、息も浅い

「ちょっとミオっ!!!!!」

私は泣き叫ぶようにミオを呼んだ
ミオは振り返って全てを察し駆け寄ってきた。

「う、嘘でしょねぇ!!!せ、先生呼んでくるからちょ待ってて」

ミオがここまで焦ってるの初めて見た。

こうなったのは私のせいだ。
しんどい顔してたのに満桜を喜ばせたくて無理させたんだ。
ここで満桜が死んでしまったら親にも先生にも合わせる顔がない。

除夜の鐘が響いて頭が痛い。涙も止まらない

先生が来るまで温めながら、何度も満桜の名前を呼ぶことしか出来なかった。

だけど意識は戻らない。

先生が頬と唇の色が同じになるくらい顔面蒼白で走ってきた。今から緊急手術が始まる

待合室でミオが震えているリナの手を握った

「ごめんね満桜っ」

「リナのせいじゃない、いつかはこうなる運命だったんだよ。それが今日だった」

ミオだって今日会ったばっかりの人が倒れて気が動転してるはずなのに私を慰めてくれる。
頼りない姉でごめん。

もう涙が止まらない


最悪の1年の始まりを迎えようとしていた。