───…今日もまたバイクの重低音が響き渡る。


ぞろぞろと倉庫から出てる黒龍のメンバーたち。

今日も彼らは暗闇へと消えて行く。


いつもの場所。いつもと同じ気持ちでレンさんを待った。



…チラッと、本当に一瞬、レンさんはこちらを見てくれた。


「わたしエマが目が合ったって言ってたの今なら信じられる」


黒龍が見えなくなって少ししてシホが唐突に言い出した。


『…え?』


「さっき、レンさんがエマのこと見てたの分かったけど、あの一瞬じゃ誰も気づかないね」


誰もっていうのは多分ここにいる派手なお姉様たちのこと。

…シホの言う通り。さっきのは確信を持ってレンさんがこっちを見てくれたって言えるけど、誰も気付いてない。


あの憧れてたレンさんと秘密を共有出来たみたいで特別な気持ちになれた。