──…なにこれ……恥ずかしい……。 こんな声、レンさんに聞かれたくない……。 腕を押し当て声を殺すわたしに、 「エマ、俺だけだから」 レンさんの声が届く。 『……え?』 「その声聞けるの俺だけだから」 そうだけど……。 レンさんだから聞かれなくないんだよ。 だけど、そんなこと言えなくて……。 『キス……してください……』 さっきみたいに少しでも声を殺せたらと思って言った言葉だったけど、 「それどういう意味か分かってんのか」 なにか不味かったみたいで……。