「エマ」
恥ずかしくて顔を伏せたわたしの顔にかかる髪を耳にかけるレンさんのその手つきがやけに優しくて……。
ゆっくりと顔を上げるとそこには今まで見たことがないくらい優しい顔のレンさんがいた。
「出会えてよかった」
『うん……!』
レンさんの口からその言葉が聞けたことが嬉しかった。
『わたしも、レンさんに出会えてよかったです』
わたしの言葉にふわっと笑うレンさんはいつもの近寄り難い雰囲気は無くて、きっと誰も見たことないくらい柔らかい表情をしていた。
「エマ」
そう言って両手を広げるレンさんの胸にわたしは飛び込んだ。
