【完】オキナグサに愛を込めて



「それにお前だけは違った。離したくねぇと思った」


ギュッと胸が苦しくなるのを感じた。
辛くも悲しくもないのに胸が苦しくなることが、こんなに幸せなことなんてわたしは知らなかった。


レンさんの切れ長の目がわたしを見つめる。


この鼓動はレンさんに伝わってるんじゃないかと思う程、わたしの心臓は煩く鼓動している。


レンさんからの真っ直ぐな言葉が嬉しかったけど、なんだか恥ずかしくて目線を外したわたしは、


『うん』


それだけしか言えなかった。