「こんなに大切なのに自分から手離しちまうとこだった」
わたしの後頭部から頬へ移動した手はやっぱり温かくて、愛おしそうにわたしを見つめる目がわたしを捉えて離さない。
「エマ、怖ぇ思いさせちまったな。」
そのレンさんの目は自分を責めているようだった。
怒りにも絶望にも思えるその表情にわたしは咄嗟に無言で首を振った。
それと同時にわたしの頬にあったレンさんの手は力なく離れた。
先輩からのいじめも、イズミくんの事も全部レンさんが助けてくれた。
恐怖よりも安心を沢山貰ってますよ。
『レンさん…』
早くレンさんの罪悪感を無くしたかった。
少しでもレンさんが楽になる言葉を探してる私を遮ってレンさんは続けた。
