倒されたドアを踏み入ってきたのは……
『……レンさん』
レンさんは鎖で手足を縛られてるわたしをみて目を見開いていた。
外では怒鳴り声と何かを殴るような音が響いていた。
「ほら来ただろ」
クククと不気味に笑うイズミくんに
「イズミ、てめぇ……」
怒りに声を震わせるレンさん。
……どうしてレンさんがここに。
「エマ……」
その声に安心してしまった。
レンさんの声……低くて落ち着く声……。
拘束されてる緊張感からまるで解放された方な安心感で涙が溢れてしまった。
レンさんは私の元へきて抱きしめてくれた……。
ずっとずっと会いたかった。
抱きしめて欲しかった。
レンさんの香りに包まれた途端、涙が溢れ視界が揺れる……。
抱きしてるレンさんの手に力が入ったのがわかった。
それから、レンさんがイズミくんの元へ1歩踏み出した時イズミくんの言葉でレンさんの動きが止まった。
「エマちゃんはもうクロサキの女じゃないだろ?俺、見たんだよね……」
「あ?」
「エマちゃんが家の前でホシミヤと抱き合ってるとこ」
