それからイズミくんは頻繁に話しかけてくれるようになった。
決まってわたしが1人の時。
まるでどこかで見ているような……。
そして、会話の時間は10分もないくらい。
いつもどこか急いでいるようなイズミくんは強引に会話を切り上げてどこかへ行ってしまう。
何度か話してる内にわたしは知らないところでイズミくんに気を許してしまってたんだ。
『エマちゃんって白虎の姫なんだよね?』
「いや、姫とかじゃないよ!」
「……じゃあ、兄弟とか?」
……ドキッ
ヒロくんの妹ってことは秘密にしなきゃいけない。
『わたし兄弟いないから……!』
「ふーん、てことはやっぱり姫なんじゃん」
『うーん、違うんだけどな……』
姫じゃなくて妹だと言えたら楽なのに、ヒロくんとの約束がこの会話を拗らせてる気がする……。
「じゃあ、またねエマちゃん」
今日もイズミくんは急いでどこかへ行ってしまった。
