【完】オキナグサに愛を込めて



「今日もヒロキさん来てる!」
「星宮さんのって分かってるけど近くで見たいから行こう!」
「ヒロキさんかっこよかった!」


廊下を走る子の声が大きくてダイレクトに聞こえてくる。


「エマ、今日もヒロキさん来てるみたいだね」

『うん。今日は連絡来てないんだけどな…』


携帯を開いてみてもヒロくんからの連絡は無い。

『ヒロくんレンさんの事知ってたからレンさんに会いに来たのかも』

「それはないよ、エマ。黒龍と白虎は敵対してるチームなんだよ、その総長同士が仲良く会うなんて有り得ないよ…」


『…そうなんだ』

「それにここは黒龍のシマだから白虎のヒロキさんがいるの結構まずいよ」


ハテナが浮かぶわたしにシホは教えてくれた。

「お互い自分のシマを持ってるの、敵がそこに入ってきたら追い返すでしょ?それが大きな抗争に繋がる事もあるの」


だから早くヒロキさんの所に行った方がいいとシホに急かされ急いで校門を目指す。

わたしの事は気にせず帰ってというシホの言葉に甘えて校門を目指す。