『ごめんね、携帯見てなかった…』
「ん、会えたからよかった。こいつらダルいから帰ろうぜ」
低い声でダルいなんて平然と言ってしまうヒロくんに周りにいる女の子達が慌てて距離をとる。
妹のわたしから見ても整った顔にバイクに座ってても分かる長い足。
その金髪は太陽に照らされて光っていた。
女の子達が放っておくわけが無い…。
渡されたヘルメットを借りてバイクの後ろに跨る。
「…エマ、バイク乗ったことあるの?」
『あ、うん。少しだけ…』
シスコンのヒロくんにレンさんの話をするのは気が引けて濁してしまった。
「…ふーん、そっか。ちゃんと捕まっててね」
そう言うとバイクは走り出した。
レンさんもヒロくんも運転中わたしを気にかけてくれて安心感があった。
…それぞれ違った安心感。
ヒロくんは家族としての安心。レンさんは…?
