……レンさんは追いかけて来なかった。


あぁ。もうわたしの事なんてめんどくさくなって捨てられるんだ。

それなら最後に気持ちを伝えれば良かったなぁ、なんて考えてるうちに放課後を迎えた。


シホはイチジョウさんとデートに行くと足早に帰って行ったので、1人で校門を目指しているとなんだか人だかりが出来ていた。


「…どうしてヒロキさんがここに?」

金髪のウルフカットに、真っ白なバイク。

ヒロキさんと呼ばれる人は人だかりによって顔まで見えなかった。


「…エマ」


……人混みの中からわたしの名前が呼ばれた気がする。


「エマ!」


『…ヒロくん!?』