───息が止まるかと思った


通り過ぎた空き教室に何度も目で追いかけてきた姿が見えた気がした。


『...え』


少しだけ開いたドアから見えるその姿に胸を打たれたような衝撃が走った。

教室の奥で寝ているレンさんの姿。

顔を腕で隠すようにしてるからはっきりは見えないけど、きっとレンさんだ。


今までで1番近い距離。
手を伸ばしたら触れられそう。

そう思うとわたしはドアに手をかけ中に入ってしまった。