倉庫の扉が開きタイガさんを筆頭に先頭集団が動き出した。
車の窓にはスモークがかかってるから外からは見えない。
それをいい事に窓に張り付いて外を眺めた。
レンさんが乗るこの車を囲む様にバイクだらけの視界。
『レンさんはいつもこの景色見てるんですか?凄いです…』
「そうかよ」
興奮気味をわたしにフッと笑うだけのレンさん。
もっと臨場感が欲しくなったわたしは少しだけ窓を開けさせて貰った。
バイクのエンジン音にコールの音。
身体に響くその音が心地よかった。
遠くの方からコールでハッピーバースデーの曲が奏でられてるのが聞こえた。
チラッとレンさんを見ても無反応だから聞こえてないのかもしれないけれど、皆から慕われてるレンさんが微笑ましく思えた。
……誕生日おめでとうございます。
いつ伝えるか迷っているうちに、わたしたちが乗るこの車と周りで走っていたアキトさん達は集団から外れ脇道に入った。
