____「昨日マイカさんが黒龍の倉庫に行ったの見たって人がいるの」


ガヤガヤと騒がしい教室の中でその声だけが鮮明に聞こえた。


マイカさんとは3年生の先輩。
美人で常に彼氏がいる有名な先輩。


やっぱりわたしじゃダメだよな。

静かに肩を落とすわたしに気付いたのかシホが肩に手を置く。


「元気だしなって。次はエマかもよ!」

『シホ…わたしあきらめないよ!」


そうだそうだ!と肩に置いた手に力を込めたシホ。


「でもさぁ、やっぱりあの噂って本当なのかな」


『あぁ。あの噂ね』