「行くぞ」 レンさんがわたしの腕を掴んだ時、ポケットから何かが落ちた。 ……それは今朝靴箱に入っていたあの手紙。 急いで拾おうとしたわたしより先にレンさんが拾ってしまった。 『か、返してください』 「あ?なんだよこれ」 メモを開いたレンさんはあからさまに不機嫌になった。 「誰だこれ」 『……えっと』 「誰にやられた?」 冷たく低い声がわたしの恐怖心を掻き立てる。 「早く言え」 ギュッと口を噤むわたしに痺れを切らしたレンさんはわたしの腕を掴みいつもの教室へ向かった。