まって、後輩くん

そんなある日。
バイトが終わってカフェを出ると、夏目くんがスマホを見ながら立っていた。


「夏目くん……?」



「先輩、お疲れさまです。今日って、このあと何か予定あります?」



「……ううん、特には」

 

「じゃあ、ちょっとだけ、散歩しませんか? 近くの公園まで」

 

公園は、カフェから歩いて10分くらいのところにある、地元の人しか知らない小さな場所だった。

大きな遊具も、派手な照明もないけど、芝生が広がっていて、ベンチがぽつぽつ並んでいるだけの、静かな場所。
蝉の声が少しだけ弱まって、風に乗る草の匂いが少し秋めいてきた気がした。

 
ふたり並んでベンチに座る。言葉はすぐには出てこなくて、夏目くんが先に口を開いた。


「なんか、こうやってのんびりするのも久しぶりですね」

 
「うん。最近、バイトも忙しかったし……」

 
「でも、こうして先輩と過ごせてるの、俺は嬉しいですよ」 



「……夏目くん」


「はい」


「告白の返事なんだけど……」



夏目くんの表情が、一瞬だけ硬くなる。たぶん、また“ごめんね”って言われる覚悟をしてるんだ。

でも——