まって、後輩くん

【夏祭りって、行く予定ありますか?】



【……今のところ、ないけど。どうして?】



【じゃあ、良かったら一緒にどうかなって】




文字を見た瞬間、無意識に口角が上がる。本当に夏目くんはずるい。
私のモヤモヤを見透かしたように、ちょうどのタイミングで送ってくるんだもん。



【うん、行きたい】




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待ち合わせ場所の駅前は、浴衣の人やカップルで賑わっていた。
私は薄い藤色の浴衣に着替えていて、慣れない下駄で歩くのにちょっと苦労していた。



やっぱり浴衣似合わないかなぁ……。いきなり浴衣なんて重すぎるかな……。

慣れない雰囲気に心がそわそわする。



「お待たせしました。……先輩、浴衣着てきてくれたんですか。嬉しいです。やっぱり浴衣似合いますね」



「っ、なんでそういうこと、さらっと言えるの」



「素直な感想ですってば」




そう言って笑う夏目くんは、いつもより少し大人びて見えた。髪型も少し整えてきたのか、いつもより落ち着いた雰囲気。



「先輩、俺に会うから浴衣選んでくれたんですか?」

 

「……そういうわけじゃないけど」

 

顔を背けながら否定するけど、本当はかなり悩んで選んだ。それを見透かされたようで、心臓がくすぐったい。