まって、後輩くん

控え室に行くと店長に呼んでないと言われて、夏目くんが気を遣ってくれたんだと気付いた。








2人の方を見るとまだ話している途中だった。

何を話しているのかは聞こえない。


けれど夏目くんの背中越しに見える元恋人の顔が、少しだけ戸惑っているのは分かった。




そして——やがて、ふっとため息をついて背を向けた。








残された静寂の中で、夏目くんが振り返る。











どうしよう。巻き込んでごめんって謝らなきゃだよね。
私のせいで……。












「……先輩大丈夫ですか?」








文句言うこともなくさらっと目の前に現れた夏目くんはそう言った。











「……うん、ごめんね、夏目くん」









「よかったです。でもこういう時はごめんねよりありがとうって言うんですよ」










すごく柔らかい表情で彼はそう告げると、彼の手は私の頭に優しく触れた。








!!








どんどん熱を帯び、肌が赤くなっていくのが自分でも分かる。












「照れてるの?先輩ってば可愛い」












さっきの柔らかい表情とは反対に、いつもの意地悪そうな顔で彼はそう言う。













ただの後輩のはずなのに。













年下なんて嫌だったはずなのに。














どうしてこんなにドキドキするんだろう。