まって、後輩くん

ドンッ!!!







少し暗くなった道でぶつかったのは同じ高校であろう女の子。







下を向いて歩いてるから。危ないなぁなんて思いながらも彼女が落としたスマホを拾おうとする。








長い髪の隙間から見えた顔は、儚くも綺麗な顔だった。



結城先輩……?






俺たちの学年で有名だった彼女に似ていた。







少し恋愛や女の子に疎い俺ですら知っていた。

顔が可愛くて綺麗で、長くふわっとした髪。大人しくて大人っぽく見えて。

みんなが付き合いたいって入学したてなのにも関わらず噂していたから。

年上のかっこいい彼氏がいることも。








けれど見えた綺麗な顔とは反対に目には涙が溜まっていた。






噂程度で顔もはっきりとは知らなかったし、きっと人違いだろうと思った。









けれど次の日昇降口で声をかけてみたら彼女で間違いなかった。








喋ってみた先輩は、大人しくも大人っぽくもなく、年相応に必死だった。









少しだけ面白かった。こんなにも恋愛に真剣になって、自分の自分を隠してまで大人を演じようとしている彼女が。








最初は興味本位。









ころころ変わる彼女の表情が、高嶺の花の彼女が慌てる姿が。










「なつめくん??」









バイト先でたまたま会って不安そうに俺の名前を確認するところもクスッと笑ってしまいそうに。










けれど一緒にバイトをして、話していくうちに間違いなく俺は彼女に惹かれていた。






「まぁ子供っぽい先輩も可愛いと思いますけどね」
「もっと知りたいです」








俺の言葉に少し顔を赤くしながらあたふたするところも。








びっくりしたような顔をしたと思えば、赤くなって、困った顔をしたと思えば、今度は何かを考え込んでいる。









これのどこか大人なんだよってそう思ったけれど、そんなところが可愛いと思った。