「あの…サインは書くんですが転売対策として○○さんへと入れるようにしてるので…」
「高校名でも大丈夫ですか?」
1枚の色紙を慶太に渡した。
双子の通っている高校名を書き、慶太はサインをした。
「香央、沙央、このサインどうしたの?って聞かれたらどう答えんの?」
詩織が聞いた。
「えっ、姉ちゃんの高校の同級生…ダメ?」
「いや、まあそれでいいよ、ねっ、慶太くん」
慶太は頷いた。
「あの、お父さんは?」
慶太が母親に聞いた。
「今日はもう少しかかるかな、球場に行ってるから」
「球場?」
慶太は詩織を見た。
「カープの試合を見に行ってるの、デーゲームだからもうすぐ帰るわ」
お母さんから説明を受け、
「じゃあ、帰ってから話をするか」
「そうね」
「おーい、姉ちゃんもサイン頼まれとるよ」
香央がどこからか色紙をたくさん持ってきた。
「姉ちゃんも誰宛てとかいるん?」
「いや、姉ちゃんは大丈夫じゃけん書くよ」
「詩織、急に方言出始めたな(笑)」
「嘘、出てた?」
「出とるよ、普通に」
沙央が答えた。
「地元新聞に1面で載ってさ、頼まれたんよ」
母親がアイスコーヒーを持ってきた。
「あっ、慶太くんもブラックじゃけぇ」
「はいはい」
「ありがとうございます」
「私のサインなんて欲しいかな…」
と言いながらマジックのキャップを開けた。



