バレンタインチョコの告白


 「お願いします、チョコを受け取ってください」

 やっぱりな。
 でもオレは、そう言うチョコが欲しい訳じゃないんだ。


 オレは、昔から不思議とモテていた。
 でも、モテていたとは言っても、たまに告白されることがある、それだけだ。

 でも、オレは、本当に好きな人、亜麻からは不思議と告白されることなんてない。

 オレは、亜麻に告白されたいのに。

 とりあえずは目の前の相手だ。
 断ろう。


 「オレには受け取れない。すまない」
 「なら、せめてチョコだけでも」
 「あ、ああ」


 流石にチョコも受け取らないのはクズの所業だ。
 せっかくオレのために作ってくれたチョコなんだから。


 「すまないな。オレには、他に好きな人がいるんだ」



 そう言って教室に走って戻る。


 放課後までにチョコを貰えなかったら、オレの方から告白する。
 オレに勇気があればだが。

 「あ」

 その時、亜麻の体にぶつかった。