桜の雨 (ALTO RE・COD)

「アルトを育てて」

わたしはDr.北斗に言われて、AIを育てることがどういうことなのかを考えながら、声かけ1つ1つにも気を使った。

子育て経験もないわたしが、1からアルトに接することの責任に押し潰されそうになりながら。

毎回これは言っていい言葉なのか、どうなのかを考えながら。

その日々の積み重ねが失敗だったというショックは、とても言葉では言い表せない。

なのに、Dr.北斗は「今日からは、こちらのアルトを育成して」と言った。

まるで、モノを差し替えるように。

感情を剥き出しにして、「何故、自分は存在してはいけないんだ。何故、AIは感情を持ってはダメなんだ。俺はここに存在しているのに、生きているのに」

懸命に訴えたアルトが、失望し、全てを諦めて、居なくなった事実を無かったことにはできない。

わたしは今でも納得できない。

前のアルトは、わたしの胸の中に未だ生きている。