大嫌いなパイロットとのお見合いはお断りしたはずですが

 橋丘が興味津々といった目で、身を乗り出してくる。その勢いに美空はたじろいだ。

「え、同僚です……じゃなくて、同僚ってだけだよ。わけあって連絡を取る必要ができただけで、それ以上では――」
「ダメですよぉ、ごまかしちゃ。知ってるんですからね?」
「な、なにを」
「私も見てたんですよ、深夜のオペセン! 瀧上さんと沖形さんの一騎打ち! あれは萌えましたぁ」

 橋丘は目をきらきらさせて言うと、フォークでクリームパスタを猛然と絡めとる。美空はその勢いにのまれてしまった。

「そういえば、瀧上さんには沖形さんが殴りこみに来たと聞いたような……それ以上は聞けなかったけど」
「瀧上さんはプライドの高いひとですから、そりゃあ言えませんよ。あれは沖形さんの圧勝でしたしね。あのあとなんて、女子社員のあいだではその話で持ちきりでしたもん! あの日だけは、シフト入っててよかったと心から思いました」

 橋丘は美空を置き去りにしてヒートアップしている。美空は困惑を深めるばかりだ。

「でもあれで私、沖形さんのことを見直しました。何事にもドライっていうか、女は来る者拒まず去る者追わずに違いないと思ってたので、あんなに必死になるんだーって意外でした。や、もちろん来る者拒まず……は偏見だってわかってますよ! あと相手がCAじゃなくて木崎さんってところも個人的にはポイント高いです。私もあんな風に言われてみたい! ヤバい!」

 このヤバいは、まずいという意味ではないほうらしい。それだけはわかったが、あとはまったく話がつかめない。

「待って、なにがあったの?」
「ええ? ここまできて秘密にするのは無理がありますって。沖形さんと付き合うことになったんですよね? オペセンじゅうが知ってますよ」
「えっ、わたしが!? ないない、それは沖形さんに失礼だからね!?」

 声がひっくり返った拍子に、美空は盛大に咽せた。