「木崎さんの代わりに俺が撮ってあげられる、ってこと。またいい空が撮れたら送るよ」
「っ……はい」
関わりたくないはずなのに、美空はうなずいていた。
はっと気づいて、気まずさで窓の外に目を逸らす。信号機と対向車のヘッドライトが、暗い夜を導くように流れていく。
ふいに、朋也が好きだという夜の景色が頭に浮かんだ。
いくつもの誘導路灯と、機体の明かり。コクピットからは、きっとそれらが地上にばらまかれたビーズのようにも見えるのだろう。
今なら、前ほど胸をざわつかせずにコクピットからの光景を眺められそうだった。
帰ったら、朋也からもらった写真をホーム画面にしよう。美空はそう密かに思った。
机上に並んだモニター群を見比べていると、あくびが出かかった。美空は慌てて手で口元を押さえ、まばたきを繰り返す。
「お疲れ。昨日、夜遅かった?」
「あっ、瀧上さん。オセアニア地域の情報を頭に入れておこうと思って、昨日夜更かししてしまいました」
朋也と食事をしたのが、一週間前のこと。
あれから急に気温が下がったからか、近ごろオペセンでも体調を崩す社員が増えていた。
その分、美空の担当もふだんのアジア路線だけでなく成田を発着するオセアニア路線にまで広がっている。
国内線や近距離路線ではほとんど決められた空路を行くため、さほど迷わずにフライトプランを決定することができる。
もちろん、長距離路線でもある程度空路は決まっているのだが、飛行時間が長い分、途中の気象条件や安全運航のための高度の選定にも慎重にならざるを得ない。
ダイバートの候補となる空港の選定も、国内の場合ほど容易ではない。
そんなわけで、美空もふだん以上に気を張る日が続いていたのだ。
「あとで栄養ドリンクを飲んでおきます。あ、瀧上さん。中部―福岡のAP102便ですが、岐阜上空に積乱雲が見られますので今日は迂回が必要になりそうです。資料をそちらにも表示させますね」
「っ……はい」
関わりたくないはずなのに、美空はうなずいていた。
はっと気づいて、気まずさで窓の外に目を逸らす。信号機と対向車のヘッドライトが、暗い夜を導くように流れていく。
ふいに、朋也が好きだという夜の景色が頭に浮かんだ。
いくつもの誘導路灯と、機体の明かり。コクピットからは、きっとそれらが地上にばらまかれたビーズのようにも見えるのだろう。
今なら、前ほど胸をざわつかせずにコクピットからの光景を眺められそうだった。
帰ったら、朋也からもらった写真をホーム画面にしよう。美空はそう密かに思った。
机上に並んだモニター群を見比べていると、あくびが出かかった。美空は慌てて手で口元を押さえ、まばたきを繰り返す。
「お疲れ。昨日、夜遅かった?」
「あっ、瀧上さん。オセアニア地域の情報を頭に入れておこうと思って、昨日夜更かししてしまいました」
朋也と食事をしたのが、一週間前のこと。
あれから急に気温が下がったからか、近ごろオペセンでも体調を崩す社員が増えていた。
その分、美空の担当もふだんのアジア路線だけでなく成田を発着するオセアニア路線にまで広がっている。
国内線や近距離路線ではほとんど決められた空路を行くため、さほど迷わずにフライトプランを決定することができる。
もちろん、長距離路線でもある程度空路は決まっているのだが、飛行時間が長い分、途中の気象条件や安全運航のための高度の選定にも慎重にならざるを得ない。
ダイバートの候補となる空港の選定も、国内の場合ほど容易ではない。
そんなわけで、美空もふだん以上に気を張る日が続いていたのだ。
「あとで栄養ドリンクを飲んでおきます。あ、瀧上さん。中部―福岡のAP102便ですが、岐阜上空に積乱雲が見られますので今日は迂回が必要になりそうです。資料をそちらにも表示させますね」



