大嫌いなパイロットとのお見合いはお断りしたはずですが

「……今、なんて?」

 さっきも質問してきた男子学生だ。小馬鹿にしたような発言に、美空は足を止めた。無意識に眉をひそめる。

「あ、お姉さんちっせーからCAは無理だっけ。かわいい顔してんのにもったいないよな。CAだったら、俺がパイロットになったら相手してあげるのに。あ、そっか、だからつまんねー仕事やってんだ。大変だねー」

「なっ……」

 美空は絶句した。残念だとか、相手してやるとか、勝手な印象で決めつけないでほしかった。
 それでもまだ、美空自身を揶揄されるのは我慢できる。相手はまだ学生なのだから、まともに取り合わなければいいだけだ。
 それに難癖をつけてきたのはメッシュの学生だけで、大半の学生は真面目に見学していた。会社としての立場もある。下手にもめ事にして、父の顔を潰したくもない。

(でもディスパッチャーをつまらない仕事と言われるのは、悔しい……!)

 もの申したい気持ちとの折り合いのつけかたを考えあぐね、美空が両手をぐっと握りこんだときだった。

「――パイロットを本気で目指すなら、ディスパッチャーがつまらない仕事だという誤った認識は今すぐ捨てるのが身のためだ。俺たちパイロットは、彼女たちがいなければ飛ぶことさえできないよ」
「沖形さん」

 どうやら一連の会話を聞かれていたらしかった。朋也もブリーフィング中だったのだろうか。気づかなかった。