大嫌いなパイロットとのお見合いはお断りしたはずですが

 だからもし、お守りを紛失して朋也が不安になっていたら……と美空は心配になったのだった。
 色がくすんでも持ち歩いていたのだから、大切なもののはず。そう思ったのも、験担ぎではないかという推測に拍車をかけた。
 そして、一度そう思ったらいてもたってもいられなかったのだが。

「落としていた? 気づかなかったよ」
「そうですか、それなら急ぐ必要もなかったですね。フライト前にお邪魔しました」

 杞憂だったらしい。美空は安心すると同時に、自分勝手にも肩透かしを食った気分になった。
 とにかく、しなければならないことは果たした。
 しかし帰ろうとした美空は、朋也に呼び止められた。なにか考えこむ風だった。

「木崎さん。……今日の勤務は?」
「え」

 ふり返った美空を、なんとも形容しがたい目が見つめる。
 驚きと、なにかをふしぎがる雰囲気。
 それらが入りまじった表情といえばいいのかもしれない。とにかく複雑で、そこに含まれた感情を紐解くことは、少なくとも美空には難しかった。
 だが、わずかながら真剣さを増しているのはたしかだ。